性感染症(STD/性病)

性感染症について

不妊の原因にもなりうる性感染症。
日常の予防・健診での早期発見が
大切です。

性感染症とは性行為によって感染する疾患です。その中にも性行為以外でも感染・発症するものもあります。これらの疾患に感染すると男女ともに様々な症状が現れます。

しかし、全く症状が出ないまま進行する場合もありますので定期的に検査をすることが大切です。ただし、尖圭コンジローマやヘルペスは症状が出てからでないと検査ができませんので、症状が少しでも出た時には早めに受診してください。

クラミジア

クラミジアは若者の性感染症の中でも最も多いもので、クラミジア・トラコマチスという菌が尿路や性器咽頭に感染することで起こります。性行為やオーラルセックスなどの行為で粘膜に感染し、男性は咽頭や尿道、女性は膣内に症状がでます。

【症状】
感染して数週間で症状が表れます。主な症状は、男性は尿道から膿が出て痛みがあったり、女性はおりものが増えたりします。女性の場合、腹痛がみられる事もありますが、無症状のため気づかない方もいます。
【治療】
抗生物質・抗菌剤を4錠を1回内服する事で治療できます。2~3週間後に治ったか再検査いたします。クラミジアに感染していると、他の感染症やHIVの感染率が格段に高くなります。また、女性は不妊や子宮外妊娠の原因になりますので放置せずに受診してください。

淋病(りんびょう/淋菌感染症)

淋病は、最近ではクラミジアと同様に増加している性感染症です。性行為やオーラルセックスで感染します。タオルなどからの感染事例もありますが、淋菌は弱い菌なのでとてもまれなことです。

【症状】
比較的早く発病し数時間から数日で症状が出ます。男性は排尿時や勃起時などに激しい痛みを伴いますが無症状の場合もあります。女性の場合も自覚症状がない場合が多く、あってもおりものが増える、熱っぽい、下腹が痛むなど、他の病気と勘違いしやすいのが特長です。
【治療】
抗生剤点滴1回で治療する事ができます。2~3週間後に再検査いたします。淋病はクラミジア同様、放置していると不妊症や子宮外妊娠の原因になりますので、少しでも気になる症状がある場合は受診しましょう。

梅毒(ばいどく)

梅毒(ばいどく)は、スピロヘータの一種である梅毒トレポネーマによって起こる性感染症です。感染経路としては、主に性行為・オーラルセックスでの皮膚や粘膜の傷口からの侵入です。

【症状】
感染後、感染したところ(性器、口腔、肛門、手指など)の皮膚や粘膜に発疹がでたり、しこりができます。一時的に太ももの付け根が腫れる方もいます。さらに症状が進むと、湿疹・発熱などの症状が出てきます。
【治療】
感染してからの経過時期によって治療法が変わってきます。感染後に長い期間放置すると、内臓や神経にまで重い症状が出てしまいますので、気になる時は受診してください。

ヘルペス

ヘルペスは、ヘルペスウイルスによって発症する性感染症です。性行為やオーラルセックスで感染します。

【症状】
感染から2日~10日間で口の中・唇・性器・肛門などに違和感やかゆみを感じ、その後に激しい痛みを感じることがあります。赤くなったり、水ぶくれのようなものができたりする場合もあります。主に男性は亀頭・包皮・陰茎体部・お尻に、女性は外陰・膣の入り口・お尻などに発症します。しかし、約7割の方が無症状のため感染していることに気づいていないケースが多く、男性よりも女性が多い傾向にあるようです。
【治療】
抗ウイルス薬を初発なら10日間服用、軟膏を塗布するなどして治療できます。ただ、1度感染してしまうと風邪や疲労等の免疫力低下によって発症を繰り返す特徴があるので根気強い治療が必要です。

トリコモナス

トリコモナスは、原虫が性器内に入り込み炎症をおこすものです。主に性行為による感染しますが、下着やタオル、便器、浴槽でも感染の可能性があります。 そのため性行為の経験のない女性や幼児にも感染することがあります。

【症状】
通常は女性のみが膣炎・子宮頸管炎・尿道炎といった症状が現れます。ニオイのある黄色いおりもの増加や、性交・排尿時の不快感、女性器のかゆみ・痛み・灼熱感などがあります。しかし、半数以上が無症状というデータもあるため感染に気づきにくいのも事実です。
【治療】
抗原虫薬の服用や膣剤の使用で治療します。男性に症状がなくとも、感染している場合はまた女性に感染してしまうため、男女一緒に治療を行う必要があります。

カンジダ

カンジダ症は、カンジダという真菌が性器に感染して生じる感染症です。カンジダはカビの一種で元々膣や口にもっている菌です。他の性感染症とは少し異なり、性行為だけではなく免疫力の低下によっても菌が増殖して症状が現れます。そのため性行為の経験がない女性でも発症することがあります。

【症状】
女性は外陰部にかゆみが出て、おりものが白いカッテージチーズのような塊になることがあります。男性に感染した場合、症状はほとんど出ません。
【治療】
抗真菌剤の軟膏の塗布や膣剤などで治療します。慢性化して繰り返す場合が多いため、症状が出た際には根気強く治療を行う必要があります。

尖圭(せんけい)コンジローマ

尖圭コンジローマは、性行為で感染しますが、ときに性行為以外の原因でうつることもあります。そのため性経験のない幼小児にも発生することがあります。包茎の人には、尖圭コンジローマが多いといわれていますので再発を予防するためにも包茎手術をおすすめします。

【症状】
男女ともに性器や肛門のまわりにイボができます。進行するとイボが大きくなり数が増えてきます。
【治療】
ウィルスの増殖を抑制するベセルナクリームを塗布します。

エイズ/HIV

エイズは、性行為によってエイズウィルス(HIV)に感染し発症する疾患です。性行為以外にも血液感染や母子感染があります。体の免疫力が低下し、様々な病気にかかりやすくなります。海外生活が長い方は1度チェックをされると良いでしょう。

【症状】
感染後2~3週間に発熱・のどの痛み・関節痛などの症状が現れます。その後症状は数週間で治まり、個人差はありますが何も症状が出ない期間が数年続きます。治療をせずそのまま放置しているうちに様々な病気にかかりやすくなります。それらの病気がエイズ指標疾患に当てはまると「エイズ発症」と診断されます。
【治療】
感染すると完治することはできませんが、薬で発症を抑えたり、症状の進行を抑えたりすることができます。

B型肝炎

B型肝炎は、性行為によりB型肝炎ウイルスに感染したことが原因で起こる肝炎です。また、現在は生後すぐにワクチンができますが母子感染もあります。父親がB型キャリア(感染している)だと気づかず、母親や子供にうつしてしまっている場合もあります。

【症状】
ほとんどが無症状で経過しますが、感染から1~2ヵ月後にだるさ、食欲不振、発熱、濃い色の尿が出る、体や白目が黄色っぽくなるなどの症状が出る場合があります。
【治療】
一般的には安静にしていれば2~3ヶ月で自然に治ることもあります。まれに肝臓の炎症が強くなり死につながる病になる場合もありますので、異常を感じたら早めに受診しましょう。

C型肝炎

C型肝炎は、C型肝炎ウイルスの感染が原因で起こる肝炎です。主に血液からの感染で性行為による感染確率は低いものです。症状は重くないものの、感染者の7割が慢性化し肝硬変~肝臓がんに進む可能性が高い疾患です。

【症状】
ほとんどが無症状で経過しますが、感染から2週間~3ヶ月後にだるさ、食欲不振、発熱、濃い色の尿が出る、体や白目が黄色っぽくなるなどの症状が出る場合があります。症状がある場合は、消化器内科を受診してください。
【治療】
食事療法をしながら安静にし、抗炎症療法や抗ウイルス剤の投与などを症状に合わせて行っていきます。

医師のコメント性感染症(STD/ 性病)は不妊など女性の未来にとっても大きく係る病気です。恥ずかしいと思わずに、ちょっとした症状を感じた場合はできるだけ早く受診してくださいね。彼氏ができた時、結婚が決まった時など、いいタイミングですから、自分が何か婦人科系の疾患がないか、パートナーのためにも検査をするようにしましょう!

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